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中国語[*1][*1] このページでは、「中国語」は普通話のことを指します。の学習をする上でやった方が良いと思っていることに関する備忘録です。基本的なことしかしていないので、既に中国語をある程度学んだ人が読んでも得るものは少ないと思います。また、主観的な意見を多く含みます。

私は暗記が苦手なので、なるべく暗記をしやすくすることに重きを置いています。

0. 発音を覚える

ここでいう「発音を覚える」とは、中国語にはどういう母音や子音があり、どういう音の組み合わせが存在するのか、それをどのように口を使って発音するのかを理解して頭に入れるということです。発音を覚えないと言葉を聞き取ることも話すこともできないので「発音を覚えた方が良い」というのは書くまでもない当たり前のことですが、これより先の内容を実践するためには発音の習得が必要であるため最初に挙げておきます(読み飛ばしたい人は飛ばしてください)。

個人的には、単語や文法の学習を本格的に始める前にまず発音を練習して、少なくとも音声と拼音が頭の中で一対一に対応するようにすると良いと思います。

中国語の単語は漢字による表記を覚えただけでは読み方が分からないことがほとんどなので、どのように表記するかとどう発音するかをそれぞれ覚える必要があります[*2][*2] 英語でも日本語でも、表記を見ただけで完璧にその単語の音声を把握できるということはありませんが。。また中国語の単語をコンピューターで入力する時は拼音を使うでしょうし、中国語の単語を英語表記する場合等にも拼音は用いられるため仮に音声が完璧に分かったとしても単語の拼音表記は把握しておく必要があります。このように、中国語の単語を学ぶ際にはその漢字と音声と拼音を全て頭に入れる必要がありますが、このうち音声と拼音が頭の中で一対一に対応していればそれらのうち片方だけを覚えれば良くなるので覚えることの量が減ります。それに音声と拼音が頭の中で一対一に対応していればテキストに載っている拼音を見たときにいちいち音声を検索しなくても頭の中で完璧に再現できるので学習の効率が上がります。

音声と拼音を一対一で対応させるのは大変です(一度できてしまうとなんてことないことのように思えるかもしれませんが)。私は特に有気音と無気音の違いと en と eng の発音の違いを習得するのに苦労しました。

多分他のところでも嫌というほど言われていることだと思いますが、有気音と無気音の違いは日本語でいう濁点の有無とは異なるものです。ですから自分が以下のような認識をしていないか確かめると良いでしょう。

  • bo/po は ぼ/ぽ と発音する。
  • di/ti は でぃ/てぃ と発音する。
  • qi/ji は ち/じ と発音する。
  • とか

(全て誤りです)

母語でない言語の発音を母語の発音で完璧に再現できるはずが無いのに母語で近似してしまうのが人間なので(主張がデカい)、最初はこう思ってしまうのも仕方無いと思います。中国語の母語話者の発音を沢山聞いて違いに気づきましょう。

私は最初有気音と無気音の違いを濁点の有無の違いのように考えていたので、中国人の中国語を聞いた際に音を拼音に起こしたら “tian” になると信じて疑わなかった部分について調べてみたら実は “dian” だった、みたいなことが起きていました。

もう一つの苦労した点として挙げた en と eng の違いの方は、元々はその違いが分かっていたのに非母語話者の中国語の発音を聞くと自分が考えていた通りの区別の仕方をしていなくて不安になり、そこから認識が曖昧になって違いが分からなくなりました。中国語を母語としていないけれど中国語が上手な方は沢山いますが、こういうこともあるので特に最初のうちは母語話者の発音を聞くのが良いと思っています。

あと、拼音では短く表記される母音 (iou → iu など) も本来の母音の発音をするように意識すると良いと思います。ここはサボっても発音と拼音を一対一に対応させることはできてしまいますが、丁寧にいきましょう。

一度これができるようになれば音を聞いてある程度正確な拼音を脳内で拾えるようになるし、発音ができるようになれば拼音を覚える必要も無くなるので学習の効率は上がるはずです。

1. 繁体字を覚える

中国語の単語の学習において、単語の簡体字での表記のみを確認して覚える人は少なくないと思いますが、絶対に繁体字での表記も覚えた方が良いと思います。これは覚えることの量を増やすので、冒頭に書いた

なるべく暗記をしやすくすることに重きを置いています。

というのに反すると思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

例えば中国語の勉強を始めるとすぐに出会うであろう定番の一文に「很高兴认识你。」[*3][*3] 「认识你,很高兴。」のように、違う語順で覚えている方もいるかもしれません。どっちでも良いと思います。があります。「あなたと知り合いになれて嬉しいです。」という意味の、初対面の相手に対して使える一文です。これを分かち書きすると「很 高兴 认识 你」となります。「你」が「あなた」という意味を持つことは知っているとして、その他の部分に対して初見では「知っている単語が一つも無い!というか『高』以外の漢字は見たこともない!」という印象を受けることでしょう。しかしこれを繁体字で表記すると「很 高興 認識 你」となります。見たことがある漢字が沢山ありますね。

繁体字で書けば「あなた認識してとても奮して気持ちがぶっています」と完全に理解できる!! ……というエクストリーム解釈は良くありませんが、繁体字を確認することで単語を覚えやすくなる気がしませんか。

それぞれの単語の意味は以下の通りです。

単語意味
(とても)
高兴 (高興)嬉しい
认识 (認識)(人間等を)知る, 認識する
あなた

教科書を開いて「很高兴认识你。」という文を目にした時に「見たことが無い漢字が多いけど頑張って覚えるしかない!」と考えて丸暗記しようとするのは勿体無いことです。その漢字、字体が違うだけで既にあなたとお知り合いかもしれません。

「环」は繁体字で書くと「環」です[1]。したがって「循环」は「循環」です。「卫」は繁体字で書くと「衞」です[2]。したがって「卫星」は「衞星 (= 衛星)」です。じゃあ「环境卫生」は?[*4][*4] 「環境衞生 (= 環境衛生)」です。読める~

繁体字を調べることで覚えることが容易になる単語は枚挙に暇がありません。他にも私の記憶に強く残っているものとして「挂」があります。これは「掛ける」や「ぶら下げる」等の意味を持つ単語です。この単語を繁体字で書くとどうなるでしょう。

「掛」です[3]。辞書を見てこのことに気づいた時には「おい!」って言いそうになりました。確かに「掛」から「卜」を除いたら「挂」になるし、意味もまんま「掛ける」だし、気づけよ!って感じなんですが初見ではこれが知っている漢字だということに気づかずに、脳内に新たに「挂」のためにメモリを確保して「新しい漢字」とその意味を覚えようとしていました。非効率的な学習方法です[*5][*5] 母語が日本語だから漢字をある程度知っていて得ができているというだけで、一般的な中国語学習について考えると「非効率的」な学習方法の方が当たり前になりますが。。こういうこともあるので、自分の直感はあてにせずに新出っぽい漢字が出てきたら繁体字での表記をいちいち調べた方が良いです。

また、台湾に行けば周りは繁体字だらけになるので単語の簡体字での表記だけを沢山覚えても知識を十分に活かせません。例えば台湾で「認識」という単語を目にした時に、それを(日本語が分かるから)「認識する」という意味だと推測することはできると思いますが、初見でそれを「认识」と同一視することは困難です。「認識」と「认识」が同じ単語であるということに気づかないと、せっかく学習した「认识」という単語についての知識を活かせなくなってしまいます(或いは「認識」をどう発音すればいいか Google 先生に尋ね、それが「认识」であることを知って驚くことになるかも)。

台湾に行かなくても、繁体字で書かれた文章を読みたくなることはしばしばあるので単語の繁体字での表記も覚えた方が学習の効率を上げられます。日本の街中にある中国語圏からの観光客へ向けた案内表示が繁体字のみで書かれていることもよくありますし。

また繁体字では複数の漢字だったものが簡化により統合された例もあるので[*6][*6] 發, 髪 → 发 など。このため「开发 (= 開発)」と「银发 (= 銀髪)」では「发」の発音が違います。、繁体字を覚えておくとそのような漢字の理解の助けにもなります。

因みに、iPhone では純正の中国語または広東語のキーボードを追加しているとテキストを長押ししたら出てくるメニューでテキストの字体[*7][*7] 字体といってもフォントを変更するということではなくて、ある文字を別の文字に変換します。例えば「興」と「兴」は(少なくともコンピューターで扱われる際には)別の文字です。を変換する機能が使えます[4]。これはとても便利で、Android の機能にはこれに相当するものが無さそうであることを Android のスマートフォンを使い始めてから 1 年間が経過した今でも不満に思っています。

2. 表を作って声調を覚える

中国語の発音には声調があります。声調を間違えると意味が通じないこともあるので声調を覚えるのは大切ですが、単語の発音を一つずつ覚えようとすると声調が覚えられなかったり、特定の単語に暫く触れないとその単語の(声調を抜きにした)読み方は分かるけど声調が分からなくなることなどがあります。

中国語には 2 音節の単語[*8][*8] 双音节词(雙音節詞)と言います。がとても多いので、2 音節の単語の声調を覚える方法を確立することが大事です。1 音節(1 文字)の単語の発音を覚える時には、その字が含まれている 2 音節の単語を覚えるようにすれば 2 音節の単語を覚える方法を使えます。

中国語には 4 (軽声を含めると 5) 種類の声調があるので、2 音節の単語の声調の組み合わせは $(4 \times 5 =)\ 20$ 通りあります。私はこれを表にまとめて覚えています。

例えば覚えたい単語が以下の 6 つであったとします。ただし、ここでは 6 つの単語だけでうまく説明ができるようにわざと偏った単語を選んでいます。実際に単語の学習を行う際はもっと沢山の単語で表を作ることになるので、単語の選択が偏っていなくても同じ方法を利用できるはずです。

  • 东京 (Dong1jing1, 東京)
  • 马上 (ma3shang4, 間もなく)
  • 西安 (Xi1an1, 西安)
  • 比赛 (bi3sai4, 試合)
  • 努力 (nu3li4, 努力)
  • 飞机 (fei1ji1, 飛行機)
1234
1东京, 西安, 飞机---
2----
3----
4--马上, 比赛, 努力-
5----

表を埋めると、同じマス(声調の組み合わせ)に複数の単語が入っていることが分かります。

  • 东京, 西安, 飞机 → 東京から西安まで飛行機で行く
  • 马上, 比赛, 努力 → 間もなく試合なので頑張る

のように、単語の組み合わせを物語風に記憶します。実際に発音しながら様子を想像すると良いです。こうすると、声調の組み合わせを忘れかけた時にどれか一つの発音を思い出せれば全部の単語の声調の組み合わせが思い出せます。

覚えたい単語のリストがあるときには実際にこのような表を手で書いてみるのも良いし、計算機でそういう表を作ってみるのも良いです。このページに書く内容ではありませんが、中国語の単語のリストが与えられたら単語を声調の組み合わせによって分類して上記のような表を作って出力するようなプログラムを書いてみるのはプログラミングの課題として良さそうです。

学習をしていくと、各マスに対応する物語が沢山生まれてくるのでいつの間にか一つの単語のみを覚える時にもこの方法を利用できるようになったり、わざわざ表を作らなくても単語のリストを見るだけで単語を頭の中の既存のマスに追加していくことができるようになったりします。

3. 日本語を中国語の読み方で発音する

もしあなたが日本語をよく使うなら、中国語に触れる量を圧倒的に増やせる方法があります。それは「日本語の文を読んでいる時に漢字が出現したら脳内で(または実際に声に出して)その漢字を中国語読みで発音する」というものです。例えばいま鉤括弧で囲った内容を読む時は頭の中で「ri4ben3yu3のwen2をdu2んでいるshi2にhan4zi4がchu1xian4したらnao3nei4で(またはshi2ji4にsheng1にchu1して)そのhan4zi4をzhong1guo2yu3du2みでfa1yin1する」を再生するようにするのです。

上の「中国語読み」は中国語としては完全に崩壊しています。例えば「中国語」は中国語では「中文」または「汉语 (漢語)」と言い、中国語で「中国語」というと変です。日本語と中国語では文法も全然違います。でもいいです。とにかく日本語の文を中国語で読むんです。これを実践すると恐らく中国語での読み方が分からない漢字が大量に出てきますが、そういう時はいちいち調べます。漢字の発音を調べるだけなら Wiktionary を使うのがおすすめです。https://ja.wiktionary.org/wiki/ に検索したい漢字を続けて直接アクセスするのが早いです[*9][*9] 例えば「字」を調べるなら https://ja.wiktionary.org/wiki/字

文章を読むときだけでなく、例えば街で漢字が書いてある看板を目にした時にも頭の中でそれを中国語読みします(脳みそに掛かる負荷が大きいので乗り物の運転中はやめた方が良いでしょう)。シャワーを浴びている時に視界に入ったシャンプーのボトルに漢字が書いてあったらそれも中国語読みします。ついでに隅に置いてあるお風呂用洗剤のボトルに書いてある漢字も中国語読みします(脳みそに掛かる負荷が大きいのできっと自分が頭を洗ったかどうかを忘れるでしょう)。これを実践することであなたの身に何が起きても私は責任を取りません[5][6] この文を書いている今も私の脳内では中国語らしき何かが流れています。うるさいね。

これをやると中国語の音を(脳内で)発する回数が増加するので、発音が良くなるし漢字の読み方が定着するようになるし、読み方を知らなかった漢字の発音をたくさん知ることができます。

また、これを始めてから私は日本語の音読みと中国語の発音の関係を意識するようになりました。音読みと中国語の発音の関係は例えば以下の字たちから見出せます。

音読みが kei/kyou で、中国語での読みが j/q/x ing である漢字
漢字発音(日)発音(中)
kei/kyoujing
kei/kyoujing
keijing
keijing
keiqing
keiqing
kyoujing
kyouxing
kyouxing
音読みが j/sh i で、中国語での読みが z/c/s i である漢字
漢字発音(日)発音(中)
jizi
jizi
jizi
jici
jici
jisi
shici
shisi
shisi
音読みが oku で終わり、中国語での読みが u/ü で終わる漢字
漢字発音(日)発音(中)
kyokuqu
kyokuju
mokumu
sokuzu
kokuku
ryoku
dokudu
dokudu

この手の規則(?)には例外もたくさんあって、例えば「計」は日本語で kei と読みますが中国語での発音は ji になるので一番目の表には入りません。多分発音のこういう類似性を厳密に議論しようと思うと音読みの中でもその音がどの時代の中国語から入ってきたかによって分類したり、中国語は中国語でその時代から変化しているのでどういう変遷を経て現在の発音になっているかを明らかにする必要が有ると思います。よく分からないのでそこには触れません。

歴史的な議論はともかく、発音を覚えるために頭の中でこのように漢字の読み方を整理しておくことは有用です。頭の中のメモリ消費を抑えつつ色んな漢字の発音を忘れづらくなり、また発音を知らない字についても発音が推測できるようになります(推測が誤っている可能性は十分有るのでいちいち調べた方が良いですが)。

$\infty$. やって良かったけどこのページの趣旨とは違うもの

注音符号を覚える

注音符号は中国語の発音を表す記号です。中国語の学習者は注音ではなく拼音を覚えることが一般的であり、拼音を覚えれば基本的に困ることは無いので注音を覚える必要は無いのですが、注音符号は台湾の小学生は習うことになっているので(誤解を恐れずに言うと)注音符号はカジュアルな文の中でひらがなのように使われていることがあります[7]。読めると楽しいので興味が有ったら覚えると良いです。

漢字直接入力を覚える

中国語の文章を読んでいると知らない漢字が出てくることがあります。その漢字を調べたくても漢字の読み方を知らないので漢字の発音による入力を使用できません。そういう場合には字形から漢字を入力するタイプの漢字直接入力が便利です。私は倉頡輸入法の使用方法を覚えました。これ、使えると便利なのは間違い無いのですが、最初に使い方を覚えるコストを考えるとスマホで手書き入力でも良いよねという気はしなくもありません。でも計算機が一番の親友な皆様は(?)キーボードで入力できる字形入力を覚えておいても良いと思います。

そのような入力方法を覚えておくと印刷された文章や解像度の低い画像等を見ていて漢字が潰れてしまっている時に、その漢字が何であるかをサクッと探索するのにも便利です[8]

ちなみに倉頡輸入法でどうやって入力すれば良いか分からない漢字も Wiktionary で確認すると良いです。一番下までスクロールすると大抵情報があります。


以上が私の中国語の学習方法に関する備忘録です。他に何か実践している事がある人は是非教えてください。